1.英語4技能とは?
まずは基本的な知識を押さえておきましょう。英語4技能とは、リスニング(聞く)、リーディング(読む)、スピーキング(話す)、ライティング(書く)の4つの技能のことをいいます。この4技能はそれぞれの技能の性質によって、英語を自分の知識や情報として取り入れていくインプット能力と、自分の伝えたいことを英語によって表現するアウトプット能力との2つに分けることができます。
リスニング(聞く)は、英文の音声を耳で聞き取り理解するインプット能力です。英語の発音から単語や文脈を聞き取り、その内容を理解することが求められます。リーディング(読む)は、英語の文章を目で読み、素早く正確に内容を理解するインプット能力です。スピーキング(話す)は、自分自身が相手に伝えたいことを英語の話し言葉としてアウトプットする能力です。ライティング(書く)は、英文を作成して文字として書くことでアウトプットする能力です。自分が読む人に対して伝えたいことを正確に文章化する力が求められます。アウトプット能力を高めるためには、語彙力や文法についての知識を十分に身につける必要があります。
ただ、ライティングはその場に話し相手がいるスピーキングに比べると、じっくりと伝わりやすい文章を考える時間の余裕はあります。スピーキングは瞬時に頭の中で正確な英文を組み立てる瞬発力が求められますが、ライティングの場合にはスピーキング以上に、文法や語彙が正確で自然な文章の表現力が必要となるでしょう。いずれにせよ、高度な英語力を得るためには、頭の中で日本語を介すことなく、英語を英語としてそのまま理解する思考回路を身につけることが求められます。
2.技能を学ぶのに良い順番とは
次に、英語の4技能はどの順序で学んでいけば効率的に語学が身につくのでしょうか。これは、人が成長過程の中で母国語を身につけていく順序と同じように学べば効率的なように考える人もいるかもしれません。しかし、実は第二言語以降の言語として英語を習得する場合には、母国語とは違う順序の方が効率的に身につくのです。人が母国語を身につけていく順序は、リスニング(聞く)→スピーキング(話す)→リーディング(読む)→ライティング(書く)だと考えられています。
母親をはじめ、周囲の人からの声かけを聞くことから言葉は始まり、自分から話すようになり、文字を使う読み書きはその後という順序です。しかし、第二言語を習得する場合には、リスニング(聞く)→リーディング(読む)→スピーキング(話す)→ライティング(書く)の順に学習するのが効率的だとされています。まずはリスニングやリーディングのようなインプット学習によって言語についての情報をどんどん取り入れるのが先で、アウトプットはある程度の情報が身についてからです。
単に音声として言語を聞き続けるより、視覚的にも文字を見たり読んだりしたほうが、言語の理解が効率的に進むといわれています。
3.技能をバランス良く習得することが大切な理由
では、英語4技能のバランス良い習得がなぜ大切なのかについて、その理由を紹介します。
英語4技能をバランス良く習得することが重視されている理由の1つは、スピーキング力を伸ばすため、ということがあります。過去の日本の英語教育では、リスニングとリーディングの2技能のみに偏った時代が長く続いていました。これは、高校入試や大学入試で評価されるのがこの2技能中心であったためで、実際に人とコミュニケーションを取るためではなく入試をパスするための学習だととらえられがちだったのです。長いこと、スピーキングの技能についてはやはりなおざりにされ続けてきました。
その結果として、多くの日本人が英語を長年学習しているにもかかわらず、コミュニケーションのための英語を使いこなすことができていない現状があります。しかしながら、社会はグローバル化が進んでおり、世界の共通言語としての英語によるコミュニケーション能力の需要は年々高まってきています。文部科学省でもこれまでの英語教育を反省し、スピーキングを今まで以上に重視することによって4技能をバランスよく伸ばし、実生活の中で役立つ英語能力の習得を目指し始めたのです。
文部科学省による教育課程の基準である学習指導要領は、およそ10年に1度改訂されています。2020年には小学校で新しい学習指導要領が開始され、小学校高学年(5・6年生)は外国語学習が教科として取り入れられ、中学年(3・4年生)も外国語活動が始まりました。英語4技能の育成が重視されており、3・4年生では「聞くこと」「話すこと」といった音声面からの学習をします。5・6年生になるとそれに加えて「読むこと」「書くこと」を加えた教科として学習を進めるのです。つまり、高学年では英語をコミュニケーションツールとして使うために必須となる4技能が出揃うことになります。
2020年の学習指導要領の改訂に対応する形で、大学入試にも大きな変更があります。これは大学入試改革と呼ばれ、センター試験が廃止になり、大学入学共通テストが実施されることになりました。大学入試改革が本格的に実施されるのは2024年度からで、それまでの4年間は移行期間とされています。特に、英語に関しては大きな変更がされる予定です。センター試験の英語試験では「読む」「聞く」の2つの技能でしか評価されていませんでしたが、4技能によるコミュニケーション能力の適切な評価を重視するようになるために、非常に大きく変更することになります。
まず、大学入試改革では、英語の試験はリスニングとリーディングの割合が50:50になります。2025年度以降は大学入試共通テストには英語の試験自体がなくなり、個人の英語4技能をより適切に評価するために英検®やTOEFLといった英語民間資格・検定試験を活用する「大学入試英語成績提供システム」の導入が検討されています。
4.英語の4技能はどうやって伸ばしたらいい?
英語の4技能はどんな方法なら効率的に伸ばせるのかを、技能別に紹介します。
最初にリスニングの学習方法ですが、学習の前にまず現状の自分の力を把握しておく必要があります。なぜ聞き取ることができないかといえば、いくつかの問題が考えられます。まず、英語の発音を体得していない、英単語や英文法の知識不足、英語ならではの語順に慣れていない、英語のスピードについていけない、などのことが考えられるでしょう。発音に関しては、しっかりとネイティブの音声を聞くことで英語の音に慣れ、自分でも同じように何度も練習して発音できるようになる必要があります。自分でも発音ができるようになれば、聞き取ることができるようになるはずです。さらに、聞き取った音声を書き出す練習もしてみると効果的です。
知識が不足している場合には、文法を学習し直し、語彙力を増やしていきましょう。どんなに発音がうまくなっても、知らない言葉を聞き取ることはできないのです。英語独特の語順に不慣れだったり、スピードについていけなかったりするのが弱点である場合には、思考方法を変える必要があるでしょう。日本語を理解するときと同じ思考方法で英語を理解しようとしている、もしくは聞いた英語を日本語に一度訳して理解している方法のままでは、リスニングを体得することは難しいでしょう。
リスニングに慣れ、技能を高めるためには、オーバーラッピング、リピーティング、シャドーイングなどの学習法が効果的です。オーバーラッピングとは、英文を目で追いながらリスニングを行い、同時に自分も発音していく学習法です。これにより、英文を聞くスピード感についていく能力が身につきます。リピーティングとは、自分でリスニング音声となるべく同じように発音し、確認する学習法です。繰り返すことで、発音の強化、語順やスピードに慣れることができます。シャドーイングとは、リスニング音源の後を影のように追って発音する学習法です。英文は見ずに、発音と英文の意味に集中して行うようにします。リスニングにおおむね慣れて、最後の訓練として行うのに適している方法です。
次に、リーディングの効率的な学習方法です。まだリーディングに慣れていない人は、イラストや写真などが多く、英文の内容を視覚的にイメージしやすい教材を使うと取り組みやすいでしょう。英語のコミックなどを読んでみるのもおすすめです。会話文や物語文を読んでみて、その内容に関する英語の質問に英語で答える練習もしてみましょう。最終的には英文を「速く」「正確に」読みこなしていく必要があります。そのためには、英語を頭の中で日本語に変換するのではなく、英語を英語のまま理解していく必要があるのです。
英語を英語のまま理解するためには、主語の後、文章を後ろから読んで述語に戻るという日本語的な訳し方をしながら読むのではなく、英語の語順のまま読んでも文脈を把握できるようにする練習が必要となります。わからない英単語があった場合には英和辞典で調べずに英英辞典で調べるようにし、リーディングの練習をしている間は徹底的に日本語を頭の中から排していくのも学習の工夫の1つです。だんだん慣れてきたら、とにかくたくさんの英文を読んでリーディングに慣れましょう。難易度の高くない英文でいいので、大量に読むことです。たくさん読んでいるうちに、意味のわからない英単語が出てきたとしても、その文脈から推測することが少しずつできるようになってきます。
スピーキングは、自分の言いたいことを人に伝えるための文法の知識と語彙力と、適切な英文を組み立ててなおかつ正しい発音によって表現することが必要なため、やはり難易度の高い技能だといえます。スピーキングの効率的な学習は、まずはネイティブの音声を聞き込み、それを口に出して繰り返し練習することが近道となります。自分の発音が正しいのかどうかをチェックしてくれる人がいれば理想です。日常的に使われている決まり文句は、そのまま覚えていつでも口にできるよう何度も繰り返し使ってみましょう。
覚えたものは、何度も口に出して練習する習慣をつけるのが効果的です。覚えたことをそのまま言うだけなら照れも少なく、身につきやすいものです。英語を口にすることに慣れてきたら、自分の言いたいことを少しでも簡単な英文で表現できないかと考える練習をします。少し難しいことを言おうとしている気がしても、意外と誰もが知っている英単語だけでも人に伝わる英文ができることがだんだんわかってくるはずです。話すときに必ず出てくるような定型文も、常に口に出して練習する習慣をつけておくと、いつでも使える自分の知識として蓄積されていくようになります。
スピーキングに慣れていないうちは簡単な文を話すことを目標にし、それができるようになったら文法や語彙などの知識をもとにして、素早く英文を作れるように練習してみましょう。
最後に、ライティングの効果的な学習方法です。まだライティングに慣れていないうちは、英文や単語を書き写してみたり、語句を並べ替えて文章を作ってみたりする練習をします。慣れてきたら次の段階に進みましょう。ライティングとはつまり英語の作文ということなので、自分が表現したいと思った文章を英語で書くことになります。最初は簡単な自己紹介文を書いてみるのがおすすめです。いきなり英語で文章を作るのは難しいので、同じような自己紹介文の載っているテキストを用意して、例文の一部を自分の名前などに置き換えるなどの練習をすることから始めます。
最初は文法などを間違えた文章ができてしまうかもしれませんが、誤りは恐れず英語で自分の書きたいことを表現したいという気持ちも伸ばしていきましょう。間違いがあれば、教師などに見てもらって後で訂正していけばいいのです。日本語を英語に1から訳すという感覚ではなく、英語のサンプルをもとにして自分の言いたいことを表現した文章に近づけていくという方法をおすすめします。それによって、間違ってはいないものの英語らしくない文章表現になることを防げます。
5.技能をバランス良く学ぶポイント
英語4技能をバランス良く学ぶためのポイントを紹介します。
第二言語を習得するためには、何よりも最初に単語や文法などの基礎的な知識を身につけることが第1歩となります。4技能の、どの力を伸ばすためにも、基礎力なしにはどうにもなりません。大量に知識をインプットすることで初めて、話したり書いたりというようなアウトプットが可能になるのです。まずは、リスニングとリーディングで目と耳から、英語力の土台となる基礎知識を身につける必要があります。確かな文法の知識や豊富な語彙力は、あって困ることはありません。十分に基礎力を身につけていると思う人でも、自分に弱点があると感じたらその部分を補強するための学習をしましょう。
インプットの学習は1人で黙々とできるものですが、アウトプットの学習は他人の目があったほうがいいでしょう。英語のアウトプットができる場を持てば、アウトプットの学習だけでなく、インプットの学習にもメリットがあるものです。なぜかというと、インプットの学習ばかりを続けているよりも、インプットとアウトプットの学習を繰り返したほうが脳に定着しやすいためです。それに、日常の中で英語を使う場があれば、実際に英語を使って学んだ内容は机の上だけで学んだことよりも記憶に強く残るでしょう。
特に、子どもの場合には1人で黙々と勉強して英語を身につけるのはなかなか難しいものです。英会話スクールなどを利用すれば、教師や一緒に勉強する仲間と交流しながら、インプットとアウトプットの学習をバランス良く行うことができるでしょう。
6.WinBeなら4技能をバランス良く学べる!
英語4技能をバランス良く学べる教室の1つとして、WinBeを紹介します。WinBeは、幼児と小学生のための英語・英会話スクールです。ネイティブ講師と日本人講師がいてそれぞれの良さを活かしながら、聞く・話す・読む・書くの4技能をバランス良く学ぶサポートをしてくれます。また、WinBeでは「魔法の勉強法」とも呼ばれるフォニックス(Phonics)という独自の学習方法を取り入れています。これは、英語の「スペリング(つづり)」と「発音」の間に存在する法則を知ることで、英語の正しい読み方を簡単に身につけられる学習法です。実際に、英語圏の子どもたちは、この「フォニックス」によって英語を学んでいます。英単語の力が上がるだけでなく、4技能すべての力を伸ばすことに非常に役立つ学習法なのです。
もう1つの独自の学習法には、スパイラルメソッドがあります。これは、1つの単語を覚える・使う・使いこなす、というサイクルを繰り返すことで、記憶にしっかりと定着させることのできる学習法です。少人数でのクラス学習で、英検®などの試験対策も万全、身についた英語力を発揮できるイベントも用意されています。早いうちから子どもの英語力を高めておきたいと考える保護者には、とてもおすすめのスクールなのです。
グローバル化が進んでいる日本でのこれからの英語学習において、4技能をバランス良く学んでいくことは必須となっていくのではないでしょうか。学習指導要領もそのように改訂されたので、日本人が苦手としてきたスピーキングも含めた英語力は、小学生から大学入試までの学習の重要なキーとなるはずです。WinBeならそんな英語4技能をバランス良く身につけることができます。1度、無料体験を気軽に試してみてはいかがでしょうか。
執筆者:子ども英語・英会話教室WinBe コラム編集部